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ダンボールの豆知識

豆知識

ダンボールとは

ダンボールとは、「波型に成形した中しん原紙の片面又は両面にライナーを貼ったもの」(JIS-Z-0108:包装用語)である。

現在、日本国内で生産されているダンボールは、2001年(平成13)で133.1億平米である。これは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の面積にほぼ匹敵する広さである。

また、10kg入りのみかん箱に換算すると、約190億箱生産され国民1人当り年間約150箱に相当する。生産されたダンボールは、使用後その約9割以上が回収され、再びダンボールに生まれ変わっている。

まさに、ダンボールは今の時代に求められる循環型社会に最適なリサイクル包装材といえる。また、さまざまな商品を国内はもとより海外まで安心して配送することができるのは、この優れた包装材であるダンボールだからこそといえる。

ダンボールは地球を決して汚すことなく、大切な資源を繰り返し使用できるという素晴らしい包装材であり、国民の日常を大きく支える、なくてはならないものといえるでしょう。

ダンボールの優れた6つの特性

1.ダンボールは、リサイクルの代表選手である。昔から高度なリサイクルシステムが整っているため回収率は9割を超え、資源の有効活用がはかられている。

2.ダンボールは、生分解性を持った天然素材で製造されているため、万一捨てられても土中で分解され土に戻る。

3.ダンボールは、外部の衝撃から商品を守る優れた緩衝性と内容品の紛失や異物混入を防止する機密性があるため、目的地まで商品を安全に届けることができる。

4.ダンボールは、軽量ながら頑丈であり、内容品に見合った最適な包装設計が可能なことから、包装費用を抑えられる。

5.ダンボールは受注製品ながら短納期で大量生産ができるので、高速自動包装ラインによる商品の梱包が可能となり、生産性が向上する。

6.ダンボールは、美しい印刷が可能で、商品を効果的にアピールできる動く広告媒体となる。

ダンボールの発祥

ダンボールの発祥は英国で、1856年(安政3・ペリー来航の年)、エドワード・チャールズ・ヒーレイと、エドワード・エリス・アレンの2名が特許を得たものとされる。

但し、今日普及している輸送、包装用のものとしては縁遠いもので、帽子の汗取り用にフルート(波形の紙)にして使用された。包装資材として使われるようになったのはその15年後の1871年(明治4)、米国のアルバート・L・ジョーンズが紙製の緩衝材として、わら・鋸屑の代わりに使ったライナなしの単に紙に段をつけただけのもの(繰りっ放し)である。

1874年(明治7)、片面ライナだけを貼り合わせた片面ダンボールがオリバー・ロングによって開発され、びん、かめ類の包装用(内装用)として用いられた。

一方、需要の拡大にともない、機械の面でも進歩が見られた。1870年(明治3)頃初歩の段繰機が試作、1880年(明治13)頃には子糊付けロールなど付属装置が相次いで考案され、1895年(明治28)以降には両面ダンボール機が製造されるようになった。

このように販売・技術の両面の拡大が支えとなって米国でのダンボール箱の需要が急激に増加し、徐々に木箱からの切り替えがおこなわれていった。

わが国では、1909年(明治42)井上貞治朗氏(聯合紙器 株式会社=現レンゴー株式会社=の創立者、わが国のダンボール産業の創始者)が苦心の末初めて国産化に成功した。氏は綿繰り機を応用してボール紙に多くの段をつけることに成功し、これを”ダンボール”と命名して東京の北品川北馬場において産盛舎(のち三成社・レンゴー株式会社の前身)を設立して事業を開始した。 これが国産の始まりであり、わが国におけるダンボール産業の発祥となった。

当時の製品は「繰りっ放し」と方面ダンボールだけで、製箱設備もなく、へらと定規による手作りのものだったが、需要がふえるにしたがい、ドイツから製箱設備を輸入し「木箱代用荷造り箱」として積極的に売り出すことになり、これがわが国におけるダンボール箱製造の最初であった。

特殊機能・用途ダンボール

1)美粧ダンボール

包装の多様化とともに販売競争の激化による商品の差別化が求められ、それに対応して種々の美粧ダンボールが出現し、色々な手法が取られているがその代表的なものには次のような手法がある。

(1)プレプリント方式(グラビア・フレキソ)
事前に印刷したライナを貼合したダンボールで、ダンボール印刷されたものに比べ、強度劣化が少なく、印刷制度も高い。

(2)オフセット枚葉方式
より美粧性の高いダンボールを得る方法として、印刷制度の高いオフセット印刷紙を片面ダンボールに貼合する方法がある。(枚葉貼合とも言う)

(3)その他(色ライナの使用等)
原紙すき込み又はグラビアによるベタ印刷が施されたライナを貼合わせる方式など。

2)防水ダンボール

JISでは防水ダンボールとして、はっ水ダンボール、耐水ダンボール、遮水ダンボールの3種類を規定していたが、ダンボールのような中空素材の場合、原紙に遮水性能があっても通常の封緘方法ではダンボール箱としての遮水性を保持することが困難なため、業界規格に移行する際に遮水ダンボールを削除した。

(1)はっ水ダンボール
短時間水が降りかかった場合、水をはじいて水滴となり、鈴の浸透防ぐように表面加工したダンボール。

(2)耐水ダンボール
長時間浸水した場合でも、あまり強度劣化しないように、ライナ・中しん・背着剤又はダンボールそのものに耐水加工を施したもの。

3)強化ダンボール

省資源、省包装という時代のニーズを受けて出現したダンボールで、複両面ダンボールの両面化を目的として開発されたものが多く、中しんの樹脂加工、中しんのラミレート、厚物中しん等が代表的なものであったが、現在ではほとんどのものが製紙段階でも紙力増強剤の内添又は、高坪量化あるいはこれらを併用した中しんを使用したダンボール。

4)重量物包装

大型の機械・粉粒液体のバルク包装や集合包装などに対応するもので木箱から転換需要が多く、440g/平米のクラフトライナなど高坪量のライナと強化中しんを組み合わせたAAフルートやトリプルウォールダンボールなどが使用されている。

5)その他

(1)青果物の鮮度保持包装
青果物は収穫後も呼吸を続けており、徐々に鮮度が劣化していくため、この呼吸による劣化を抑制することによって、青果物の鮮度を保持する方法を鮮度保持包装と呼んでいる。代表的な方法としては、温度を低くする方法(予冷・氷づめ等)、二酸化炭素と酸素の濃度調節法、エチレンガスを除去する方法などがある。
それらの用途に合わせて、プラスチックフィルムラミレートダンボールやプラスチックフィルム袋等を併用している。

(2)防錆・導電性ダンボール
金属製品・電子部品などの初錆・静電気障害を防止する機能をもったダンボールのことで、それぞれの目的に応じた加工方法がある。

(3)POP広告
商品のディスプレイ、サインなど商品が販売される店頭で使われる販促物で、ダンボール製のPOP広告物は金属やプラスチックなどの他の素材に比べ、安価で美粧性と後処理性にも優れている。

(4)ダンボール製パレット
物流の合理化・効率化を図るうえで、パレット輸送は大きな役割をはたしている。わが国のパレット生産台数は5,470万枚(2000年)と推定されており、その素材は木製・金属製・プラスチック製がほとんど占めている。
その中でも圧倒的に木製が多く、約75%を占めている。ダンボール製パレットについては、1997年頃までは著しい伸びを示していたが、ここ数年は伸びが鈍化しており、2000年の生産量は265万枚(推定)で4.8%に留まっている。主な需要先としては、OA機器・弱電製品関係が50%以上を占め、輸出用が大半で、また大部分がワンウェイ用途である。
ダンボールパレットは木製に比べ、妨害虫処理のための燻蒸処理の必要がなく、1/3〜1/4と軽量でありながら数百キロから1トン以上の荷重に耐えられるなどの特徴がある。

(5)パルプモールド
新聞・ダンボールなどの古紙を主原料をして、型により成形し、発泡スチロールに変わる緩衝材として利用されている。鶏卵・農産物(りんご・メロン・柿など)等のトレイとしても使われてきた。昨今、資源の有効利用・リサイクルへの取り組み等環境問題に対する意識の高まりからパルプモールドをはじめとした紙系緩衝材が注目され、ここ数年工業品分野における緩衝材として利用分野が拡大している。

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